かっぱのお話

荒鍋の河童(山形の昔話)

 昔、あったけど。
 昔、荒鍋の近くを流れる最上川のよどみさ、河童が棲んでいたけど。
 村の人たちは、この河童を平吉と呼んでいたけど。
 平吉は畑を荒らしたり、川を渡る舟や子どもたちを驚かしたりして、村の人は困っていたけど。
 河童の一番きらいなものは、東風だけど。東風が吹くと、頭の皿が乾くので、長く地上に上がっていらいねけど。
 ある日、畑にまいた種を掘っくりかえしていたけど。村の人たちは、憎くぐで、憎くぐで困っていたけど。
 困った村の人は長老さ、何とかならないかと相談に行ったば、「平吉は頭の皿がかわけば、地上に上がることがでぎねさげ、東風と日照りをまつしかねぇのぉ」
と、言うけど。
 そんなある日、夕立もやみ、翌日から東風が吹いてきたけど。東風と日照りは何日も続いて、川のよどみは川と途切れたけど。
村の人が通りかかったとき、川のよどみに水がなくなった平吉は、「助けてれ、助けてれ、頭がフラフラするさげ助けてくれ。悪いことしねさげ、助けてくれ」
と、泣きながら頼むけど。
「今まで村の人たちさ、どんなに迷惑かけたか知れね。こんだもの死んでも知ろばや」
と、いったば、
「今度、悪いことしねぇさげ助けてくれ。この通りだ」
と、手を合わせて願うけど。目からはポロポロと涙を流していたけど。
 河童平吉の涙を見た村の人は、可愛そうになり早速、村の人さ話したば、「困ったときだけ助けてくれでは困る。知らん顔せ」
と、言うけど。
「平吉の涙が切れれば、死んでしまう」
と、言ったば、
「んだば、村の人たちと見に行くさげ」
と、見に行ったば、今にも死にそうな声で、
「助けて、助けて」
と、言うけど。
「これだば、見ねふりさいね」 と、村の人たちは、可愛そうになり、家さ川原を掘る道具を取りに行って、かわいた川原を掘ったば、川のよどみさ水が流れてきたけど。
「いがぁ、あど悪いことすれば、二度と助けてやらねぞ」
と、いうと河童の平吉は、
「もう死ぬどこ助けてもらったなだ。二度としね」
と、言うけど。
「わかったばえぇ」
と、村の人は言ったけど。
 その後、村の人たちのいやなことをしねぐなったけど。
とんぴんからりん ねけど。

山形県庄内民話の会 長南一美 東北の河童昔話今話 より採話

河童の正体

 河童は、昔から日本各地に伝説や昔話で言い伝えられている。
各地に棲んでいたと言われている河童は、体の背中に甲羅と手足に水かきが付いていることから、カメとカエルの合いの子が進化した想像上の生き物とと言われている。
 河童のかたい甲羅は、カメの甲羅と同じで外敵から身を守り、手足はカエルみたいと言われている。

河童の棲んでいるところ

 河童は、村から近い人通りの少ない川のよどみの淵、湖、沼に棲んでいたと言われている。
 冬は水中の淵の土手に穴を掘って冬眠すると言われている。
 体の大きさは親で60センチから80センチ位と言われている。
 河童の子は、春に生まれて秋までに大きくなり、親と一緒に冬眠をすると言われている。

河童の頭の皿の役目

 河童の頭の皿の中は、湿っていて地上に上がったとき、風や夏の日照りで体の乾きを防ぐために、頭の皿の水分で体の乾きを調節していると言われている。
 頭の皿の周りの頭毛は皿を保護するためにあると言われている。
・河童の頭の皿は天空のエネルギーを吸収して「開運」に変えて発信していると言われている。

河童のオスとメスの違い

 河童の背中の甲羅の下が丸くとがっているのがオスで、甲羅の下が丸くへこんでいるのがメスと言われ、メスはオスより小さく皮膚の色は、メスは薄いと言われている。
 河童は、哺乳類では無いと言われ、オッパイとヘソではなく、子は卵から生まれると言われている。
 河童は、生まれて三年で大人になると言われている。

河童の好きな食べ物

 河童は、野菜が好きで特にきゅうり、スイカ、トマト、カボチャ、エダマメなど中に種の入ったものを好んで食べると言われている。
 河童は、雑食で水中にいるコイ、フナ、ナマズなど特に動物のもつを好んで食べると言われている。
 嫌いなものは、辛いダイコンとワサビ、トウガラシと苦いニガウリとカラスウリと言われている。

河童の好きな遊び

 河童の子どもたちの遊びは、水中を泳いだり、水中で石をかくして探す遊びをしたり、村の人や子どもたちが通ると驚かしたり、地上に上がって相撲をと取ったり、トンボとりをして遊んでいたと言われている。
 夏の暑い日は、地上に上がって遊ぶときは頭の皿と体が乾かないように、フキの葉を頭に上げて日除けにしていたと言われている。

河童の怖いもの

 河童のいちばん怖いものは、突然ピカードーンと同時におこる稲光と雷だと言われている。
 地上は危険がいっぱい強敵はイヌ、キツネ、ワシでそれよりいちばん怖いのは、大雨で大洪水となり、よどみの淵が一気に無くなり、棲むところが無くなることと言われている。
 河童は、危険なときギョーギョー鳴くと言われている。